田邊良三さんが描いたスケッチブック2冊
①「小兵の敗戦記」(1988) ②「虜囚の絵記」(1989)
田邊良三さん 1928年生まれ、新潟県出身、第1次豊穣義勇隊開拓団として1942年三江省追分訓練所へ入所、現地招集され入隊。終戦後シベリアへ抑留。
1942年に満蒙開拓青少年義勇軍で渡満した田邊良三さん。三江省追分訓練所で訓練を受けました。
日本の戦局が悪化するなか、田邊さんも召集。ソ連の参戦と日本の敗戦によって、ソ連軍の捕虜となりシベリアへ抑留されます。ここに挙げた2冊のスケッチブックは、そのときの体験を描いたもの。
①「小兵の敗戦記」サイズ29.5cm×21cm 全17頁(1988)
召集からソ連へ連れていかれるまでの体験を描いたスケッチブック
②「虜囚の絵記」サイズ35×25 全13頁(1989)
シベリアでの抑留生活を描いたスケッチブック
色えんぴつの鮮やかなタッチで描きます。
スケッチにはそれぞれ説明文が添えられており、当時の様子が生き生きと語られていきます。
ゴムホースでお酒
また、捕虜となったソ連での伐採作業で切り出した木の種類まで、具体的に思い出して書き記しています。②は記念館で実物を展示しています。
たとえば、ゴムホースを使って四斗樽からお酒を飲んだという少し変わったエピソード。
これは、ソ連の捕虜になる前に過ごした綏化の日本軍倉庫に、たばこ・米・砂糖・布団・清酒などがたくさん残されていたからでした。
「米飯はもち米ばかりで約一ヶ月の間は毎日満腹だった」といいます。
伐採