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井出孫六さんご逝去

記念館開館前の準備会名誉顧問として大変ご尽力いただいた井出孫六さんが10月8日にお亡くなりになられました。

 

井出先生には当記念館の設立準備会の段階で名誉顧問になって頂いて以降、大変お世話になってきました。記念館発行の「図録」の中にも一文を寄せて頂いています。

 

 

井出先生は1931年(昭和6年)、長野県の旧臼田町(現佐久市臼田)の、元禄時代から続く造り酒屋である名門・井出家にお生まれになり、東大仏文卒、中央公論社勤務の後、文壇に入られています。

御兄姉には衆院選当選16回、農林大臣などを務められた故井出一太郎氏、評論家の故丸岡秀子さんがおられ、また御親戚には厚労大臣などを務められた甥の故井出正一氏などがおられる等々と政界、文学界等にも多くの関係者を輩出されている名門の御出身でもありました。

 

また、中国残留孤児問題に強い御関心を寄せられ、熱心にこの問題に取り組まれている方であり、『終わりなき旅(中国残留孤児の歴史と現在)』(1986年刊。大仏次郎賞受賞作)などを始めこれに関する著作も多くあります。

  

阿智村までお越し頂いて特別講演をして頂いたり、記念館事業にも様々なアドバイスを頂いたり等してきました。井出先生は前述の通り中国残留邦人問題にも強い関心を寄せられており、この問題の啓発活動等にも早くから熱心に取り組まれておられました。かつて全国で提訴された「中国残留孤児訴訟」の際には孤児側の証人として先生自ら裁判所の証言台に立たれ、孤児問題の根本等について詳述される等深く関与されています。その活動ぶりには本当に頭の下がる思いがいたしました。

 

これらの調査研究等のために収集された膨大な関係書籍等の一部も記念館にご寄贈頂いております。

 先生からの長年のご厚情に厚く御礼を申し上げ、先生のご冥福を心よりお祈り申し上げたいものと思います。合掌

 

信毎web

蓼科高原・三井の森の井出先生の別荘にて(2009年8月18日)