7月24日(日)に青梅市立美術館学芸員の田島奈都子さんを講師に迎え、特別講演会「ポスターに見る観光国家・満洲の実像」を開催しました。
昭和7年に建国された「満州国」は、旅行雑誌に紹介されるなど、日本からの観光地でもあり、また、資源が豊富であったことから工業生産の現場としての側面もありました。
昭和7年に建国された「満州国」は、旅行雑誌に紹介されるなど、日本からの観光地でもあり、また、資源が豊富であったことから工業生産の現場としての側面もありました。
講演では南満州鉄道のポスターや雑誌の広告、カレンダー、朝鮮経由満州行きの旅行パンフレットなどが次々に紹介され、その歴史背景やデザイナーたちの横顔、デザインが意味するものなど、田島先生の豊富な知見と軽妙な語りに引き込まれ、あっという間の90分でした。
例えば、子どもや女性が多く描かれるのは安心安全の象徴。また、チャイナドレスやチマチョゴリなどで民族を表現しやすいという意味でも女性が描かれた、などなど。斬新な構図や美しい絵柄を見ながら、当時のデザイナーや画家たちが技術や技術性を競い合いながらレベルアップしていくことで、結果的にこうした商業ポスター類もプロパガンダを担うことになったのだろうと思いました。
“描かれた満州国”に理想や夢を持って渡った人々。
その先にあった絶望的な結末は知る由もなかったのです。
【参加者のアンケートから】
・大変興味深かった。大衆を操作するためのポスターの使命について考えさせられた。
・満州への観光・修学旅行がリクルートも兼ねてであったとこが興味深かったです。
・戦前戦時中に派手なポスターが作られていたことに驚いた。
・満鉄はとても豊かだったことがよくわかった。
・歴史の中で学ぶ「満州」はとても暗くて重いことが多いイメージだが、今日の講演会の中で見た多くの観光・商業ポスターを見ると、いかに当時の日本人にとって満州が明るくキレイなものだったのか。
私も見ていて「当時生きていたら、行ってみたくなっちゃうかも」という気持ちを抱きました。
・やはり女性は国策に巻き込まれやすい立場にあるということを再確認できました。「みられる女性」「受動的な女性」が大前提とされている構造は、昔から現在までずっと続いていることを深く感じました。