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慰霊祭 鎮魂の夕べ を行いました。

旧満州で犠牲になった方々へ祈りを捧げる慰霊祭・鎮魂の夕べを行いました。

長野県のコロナ感染警戒レベル6を受け、関係者15名ほどの参加とし、

旧満州の方角を向いて黙とう、慰霊碑へカーネーションを献花しました。

 

元開拓団員の原千代さんは、ウクライナの映像で涙を流した子どもの姿を自分と重ね合わせ、

「とても胸が痛くなった。一日も早く平和な世界になってほしい。」と話されました。

 

終戦から77年、ロシアのウクライナ侵攻が今なお続いています。

歴史を学び、平和発信の場としての思いをあたらめて強くしました。


慰霊祭2022年 館長あいさつ

 

 3年目にもなるコロナ禍の中で、今年も当記念館の「鎮魂の夕べ」の日を迎えました。

 本来ならば私もご参列の皆様と共に慰霊の黙祷を捧げるべきところ、私自身もコロナの濃厚接触者となってしまい、文面での館長ご挨拶となってしまいましたことをお詫び申し上げます。

 

 さて、今年2月、突如としてロシアがウクライナに侵攻すると言う驚くべき事態が発生し、戦火は今なお続いています。今から77年前の夏、ソ連軍が突如として旧満州に侵攻してきた時の記憶を呼び起こされた旧満州関係者、満蒙開拓関係者の皆さんも少なくありません。ロシアのウクライナ侵攻は決して許されてはならない平和への冒涜です。しかし、歴史を振り返ってみると、かつて我が日本も自国の利益のために、あるいは現地の発展、解放のためにとの名目で旧満州等に勢力を伸ばし、現地の人々にも多大な犠牲を強いてしまったという歴史を振り返る時、今のロシアはかつての日本であり、今のウクライナはかつての旧満州であったとも置き換えることが出来ると思います。「被害」と「加害」の立場が入れ替わり、多くの犠牲を出していくのが戦争です。

 

 私たちは満蒙開拓の歴史を通じて、戦争へと至る道筋を辿り、日中双方を含む多くの犠牲者の皆様に対しての慰霊と共に、その中から未来の平和に向けての教訓を学んでいかなくてはならない、それが多くの犠牲者の皆様に対する慰霊、鎮魂であり、満蒙開拓平和記念館はそのための学びの場、平和の発信の場であり続けたいものと思います。

 その当記念館も来年4月で開館満10周年を迎えようとしています。コロナ禍の中で来館者の減少等、厳しい運営が続いておりますが、多くの皆様方からのご支援の声に支えられ10年の節目を迎えます。今年4月よりは、共にこの満蒙開拓の史実を語り継いでいくための新たな制度、「自治体パートナー制度」を創設し、これまでに長野県並びに県内30の市町村からの計53口のご参加を頂いています。官民協力し、地域を挙げて、この満蒙開拓の史実を語り継ぎ、明日の平和のための「平和の種まき」にこれからも励んでまいりたいと思います。

 

 最後に今一度、旧満州の地に眠る日中双方含む全ての犠牲者の皆様に哀悼の誠を捧げ、館長挨拶とさせて頂きます。合掌

 

 

令和4年(2022年)8月11日

 

                                               満蒙開拓平和記念館 館長 寺沢秀文

 

慰霊祭終了後は、小林勝人さん(歌会始入選者)による短歌入門教室を行いました。

開館10周年記念企画で皆さんから短歌を募集しています。

帰国者の支援に長く携わってきた小林さんならではの視点から、多くのことを学ぶことができました。