建設の礎石(けんせつのいしずえ)
制作年月日:不明 文と絵:田河水包(掲載のまま)、発行:拓務省拓北局*
21×14.8(A5版冊子)、16頁
満蒙開拓青少年義勇軍について、イラストを用いて説明した小冊子
まんが「のらくろ」で有名な田河水泡(1899-1989)は、満蒙開拓青少年義勇軍募集PRのための文章やまんがなども描いていました。ここで紹介している冊子は、義勇軍とは何か、どのように始まり、今後どんな計画で進んでいくのかなどを、イラストやまんがでまとめています。
「大富豪の坊ちゃんでも、
身長が低くても、
旅費や支度金のない人でも、
中学を卒業してからでも、
少しくらい近眼でも、
農業に経験がなくても、
他の職業についていた人でも、
国民学校高等科中途退学の人でも
義勇軍に応募する資格があります」
と門戸の広さを強調しますが、
「意志が弱くて決意のグラつく人、父兄の承諾の得られない人、物事に飽き易い人、年齢の超過した人、協和精神の乏しい人、慢性病弱の人、一時的でも伝染性の病気をもつ人、個人の主張が強くて長上の命令の守れない人、〆切期日に遅れた人は志願しても採用されません」と、特に意志の強さと協調性に優れた人物を求めました。
そして「…ここから先の輝かしい歴史を創る聖なる使命が、諸君の双肩に期待されている。サア君の番が廻ってきた。支度をしよう」と呼びかけます。
「のらくろ」に限らず、当時人気だったまんがや小説などに影響を受けて義勇軍や兵隊に志願した人は少なくありません。文芸人たちの国策協力も、見逃せない一面です。
* 拓務省内の一部局だった拓務局が1940年「拓北局」「拓南局」に分けられた。拓北局は、主に満州地域の殖民事業を担当した。