昭和二十年度海軍志願兵割当ニ関スル件
作成 上小地方事務所長 発行 1944(昭和19)年6月9日 サイズ 25×36.4、2枚
→上小=長野県上田小県(ちいさがた)地域を指す
昭和20年度の海軍志願者割当数の通知と募集方針 他
旧国民学校高等科卒業後(14~15歳程度)の進路のひとつに、満蒙開拓青少年義勇軍がありました。各学校には「何人送りなさい」という割当が課せられました。同じように、海軍や陸軍兵の募集も行われていました。
ここで紹介するのは、現長野県上田市にあたる神川村の神川国民学校及び青年学校への海軍志願兵割当の通知です。昭和20年度に割り当てられたのは計13名。青年層を厚くするため国民学校児童(原文のまま)は全体の25%以内にとどめること、素質第一主義とし優秀者を精選することなどが求められています。志願者は1944年8月20日までに願書を出すと、下旬に検査が始まることになっていました。その年の10月末から12月末までに採用者が決められ、合格者は1945年1月より逐次入隊と予定されています。
米国との全面戦争に入っていた日本は、この通知が出される1944年時点ですでにミッドウェーやガダルカナル、アッツ島といった島々で手痛い敗北を喫していました。それでもなお、若い少年たちを兵士として動員し、戦争を続けようとしていたことがうかがえます。
<書き起こし文> 原文のまま。本文縦書き
上小一九兵厚七四四号
昭和十九年六月九日
上小地方事務所
神川 国民学校長
青年学校長 殿
昭和二十年度海軍志願兵割当ニ関スル件
海軍志願兵ノ徴募ニ関シテハ多大ノ御配意相煩居リ候処今般内政部長ヨリ本部ニ対ㇱ昭和二十年度海軍志願兵割当有之候ニ付貴町(村)ニ対スル割当ハ左記ノ通リ決定候條之ガ要員確保ハ時局ノ重大性ニ鑑ミ絶対ナルニ付関係方面ト密接ナル連絡ノ下ニ必ス確保セラルゝ様各段ノ御尽力相成度
追而本員数ハ海軍当局ニ於テ選兵上最小限ノ要望員数ノ趣ナルニ付割当数ハ絶対確保セラルゝ様別紙御了知ノ上素質第一主義ヲ以テ志願者ヲ精選シ適格者ヲ多方面ヨリ獲得スル様御配意相成度
尚割当数ニ付テハ各町村ノ高等科二年男子生徒数青年学校男子生徒数(本科五年以下ノ生徒数)其ノ他前年ノ実績等ヲ十分考慮シ算出シタルモノニ付申添候
記
志願者割当員数
志願者年齢満十六年以上 九名
同 十六年未満 四名
計 一三名
(別紙省略)