満洲農業図誌
満鉄総裁室弘報課編・非凡閣発行 1941(昭和16)年8月25日 26×19,194頁
満州在来農業について、写真や図を使って説明した本
南満州鉄道株式会社(通称満鉄)は、鉄道運営のほか様々な産業振興に携わっており、各地域の農村実態調査などを行っていました。
ここで紹介する『満洲農業図誌』はそこで撮りためられたものや農事試験所などの所蔵写真を集め、満州在来農業について、その社会的・技術的条件を探求・把握して、今後の農業の発達に活かすために編まれたという文献です。特に農耕法を中心に、農作物、農機具、販売事情、農民の社会生活などを紹介しています。
写真① 大豆の脱穀
写真② 鋤鍬(チュウトウ)/チャンリー鍬
写真①は大豆の脱穀風景です。穀粒を空中に投げ上げることで大豆の実と茎や殻、塵埃とを選り分ける作業は「風選」と呼ばれ、ダイナミックな満州農業を象徴するものです。
写真②は当記念館でも展示している除草道具・鋤頭(チュウトウ。チャンリー鍬とも)です。
末尾には主要農産物(高粱・包米・粟・大豆・小麦・水稲/陸稲)の作付分布図が載せられており、地域ごとの特徴が見てとれるようになっています。満蒙開拓団入植図と重ねてみると、また違った面が見えてくるのかもしれません。