満洲産業事業
南満州鉄道株式会社編・発行 1937(昭和12)年3月25日 22×15, 79頁
満州国の産業を紹介した小冊子
満州国の農業・林業・畜産業・水産業・鉱業・工業について、概要のほか生産拠点や生産量、各産業の近況と将来の展望などをまとめた小冊子です。
農業の部では、各省の可耕地・未耕地の統計を紹介し、特に北満の広大な未耕地に将来性を見出しています。満蒙開拓団についても記述がありますが、満州特有の気候や環境、風習などから日本人の移住問題は相当の苦心が予想されること、漢民族が築いた農村を日本人が築き上げるためには多くの支援が必要であることが説かれました。
林業の部では、森林乱伐を防ぐため植林を行っていることや、注目されるパルプ工業、10年で5,000人の林業移民入植計画に触れています。また鉱業の部では、治安の安定が進み、日本資本や技術が取り入れられることで開発が進むだろうと期待されました。
日本の経済圏・勢力圏拡大のため、満州の広大な農耕地と鉱物などの豊富な資源の可能性を見据え、日満経済ブロックの強化とともに、産業国家としての発展に期待を懸けていたことがうかがえます。