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寄贈品 №50

満洲開拓教本

著・図司安正 発行・財団法人雪国協会  1940(昭和15)年10月10日  26×18.5、94頁

満州開拓の基本的な知識や心構えなどを問答形式でつづった冊子

  長野県に次いで満蒙開拓団を送り出したのが山形県でした。この本の著者・図司安正は山形出身で「山形県最上郡大陸進出協会」を組織し、満州へ最上郷開拓団を建設しようと奔走していました。

 表紙において彼は呼びかけます:「行け!沃土萬里の満洲へ、東亜新秩序建設を通して世界再建設の嵐の真只中に乗り出している日本健児!猫額大の国土にコセコセしている秋ではない。昭和維新は北守南進だ。西南日本人は南進へ、我等東北人は男も、女も、老も、若きも、喜び勇んで北守の任に就こう。」

  

 本文の一部も見てみましょう。

問:満洲国は厳然たる独立国でしょう。その独立国に我が国が勝手に人間を送って、開拓させるということは… 

答:満洲国は立派な独立国だが、我が国とは一心一体の道義国家なのです。どうも欧米流の国家概念を基調として教育されたお互には、この点は容易に納得の出来ぬところですが、我が国の農村の実情を眺めて見れば、一番早わかりがしましょう。

 

問:なるほど。田植の忙しい時なんか、お互に手伝いし合いますね。

答:我が国は満洲国の為に指導的な地位や国防方面を引き受けてやっているし、満洲国は我が国にあり余る土地の開拓をお願いしているわけなんです。…土地は飽くまで満洲国のものですし、日本人も開拓地にある間は、満洲国人なんです。満洲国にお婿入りして、養家の繁栄を図るというわけ。

 

「独立対等」と言いつつも、日本を指導的立場に置いて満州を発展させるという権力関係が見えてこないでしょうか。