· 

寄贈品№56

開拓農学 巻一~四

巻一:1940(昭和15)年11月、巻二:同12月、巻三:1941(昭和16)年1月、巻四:同8月

満洲開拓青年義勇隊訓練所本部発行、サイズ: 22.0×15.0

新京にあった義勇軍訓練所本部で発行された、農業に関する小冊子


 1939(昭和14)年の「満洲開拓政策基本要綱」に伴い、満州国機関として義勇隊訓練所本部が新京(現長春)に設置されました。そして、満州における訓練所の管理・運営を担いました。この訓練所本部が発行した小冊子『開拓農学』は、満州での農業全般、土壌・気象、野菜の栽培方法や貯蔵方法などについて、その道に通じた研究者や満州拓植公社の職員といった面々が文章を寄せました。

 巻一では「満洲農業概論」として、当時京都帝国大学教授で農学博士であった橋本傳左衛門が巻頭を飾っています。満蒙開拓政策を主導した加藤完治とともに、満州移民を積極的に推し進めた人物でもありました。この巻には、訓練本部訓練部長野々山彦鑑による農事訓練の重要性を説いた文章も載せられました。このほか、野菜の苗はいつ植えるのがいいのか、肥料や種子はどんなものを選ぶのがよいかといった具体的な方法論などが各巻ごと連載されました。満州農業を背負って立つ義勇軍の青年たちを育てようと、実用面・精神面からの教育が試みられたことがうかがえます。

当館所蔵は4冊のみで、これ以降何巻まで出されたかは定かでありません。